空き家の固定資産税が6倍!? 『特定空き家』に指定される前にできること

空き家、そのままにしていませんか?

「相続した実家、まだ使えそうだし空き家のままにしている」
「別荘を年に数回しか使わないけど、解体すると税金が上がるから放置している」
「会社の保養所や倉庫、使っていないけど壊すのにお金がかかるし…」

こんな理由で、空き家を放置していませんか?
実は、2023年12月に『空家等対策の推進に関する特別措置法』が改正され、空き家の放置に対する罰則が適用される対象範囲が大幅に拡大されました。
放置し続けると、固定資産税が最大6倍になる可能性があります!

今回は、改正された空き家対策特別措置法について、わかりやすく解説します。
「知らなかった」では済まされない、空き家所有者が今すぐ知っておくべき重要な情報です!

空き家対策特別措置法とは?
わかりやすく解説

そもそも、なぜこの法律ができたのか?
日本では空き家が年々増え続けており、問題視されています。1998年から2018年の20年間で、使用目的のない空き家は約1.9倍に増加し、2030年には470万戸に達すると見込まれています。
放置された空き家は、倒壊の危険、景観の悪化、不法侵入、害虫・害獣の発生など、周辺住民に様々な悪影響を及ぼします。

そこで、2015年に『空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)』が施行されました。この法律により、市区町村が危険な空き家を『特定空き家』に指定し、所有者に対して助言・指導・勧告・命令などの措置を取ることができるようになりました。

『特定空き家』の指定を受ける4つの状態

『特定空き家』とは、以下のいずれか1つ以上の状態にある空き家のことです。

【1】そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
文字通り、建物が倒壊しそうに見えている危険な状態です。

【2】そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
汚物の異臭、ゴミの放置による害獣などが繁殖し、衛生上有害となる恐れのある状態です。

【3】適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
建物に汚物や落書き、立木の繁茂など。既存の景観ルールから大きく逸脱した状態です。

【4】その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
立木が近隣に散乱、動物の鳴き声や糞尿の臭気、不審者の侵入や、雪落の危険性など近隣住民の生活に悪影響を及ぼしている状態です。

そもそも建物や周辺環境に持ち主が適切に介入しないと危ない状態ばかりです。

2023年の法改正で何が変わった?⇨『管理不全空き家』の新設

これまでの空き家対策特別措置法では、『特定空き家』に指定されてから、ようやく市区町村が助言・指導・勧告などの措置を取ることができました。
しかし、『特定空き家』に指定されるまでのハードルが高く、実際に指定される件数は少ないという、法律があってもあまり機能していない状態でした。そのため、「建物がボロボロになるまで放置される」ケースが後を絶ちませんでした。
そこで2023年12月の改正で『管理不全空き家』という新しい区分が追加されました。
『管理不全空き家』とは、放置し続けると特定空き家になるおそれがある「予備軍」に該当する空き家のことです。

改正前の流れ
空き家 → 『特定空き家』に指定 → 助言・指導・勧告 → 固定資産税6倍

改正後の流れ
空き家 → 『管理不全空き家or特定空き家』に指定 → 助言・指導・勧告 → 固定資産税6倍

つまり、建物がまだ倒壊寸前ではない状態でも、行政が早い段階で介入できるようになりました。
罰則そのものの内容は変更されていませんが、罰則が適用される対象範囲が拡大されました。『管理不全空き家』という区分が追加されたことで、法の指摘を受けそうな手入れされていない建物の対象・範囲が広がりました。
分かりやすく言うなら、国からの「建物が不健全なら減税分をなくすからね、放置は許さないよ?」という強いメッセージです。

『特定空き家』『管理不全空き家』に指定されるとどうなる?

ここから家主の方が一番知りたいことですね。
指定を受けると、以下のような深刻なデメリットが生じます。

デメリット1:固定資産税が最大6倍に!
これが最も大きなデメリットです。
通常、建物が建っている土地には『住宅用地の特例』という減税制度が適用され、固定資産税は最大で1/6、都市計画税は最大で1/3に軽減されています。
しかし、『管理不全空き家』または『特定空き家』に指定され、勧告を受けた時点でこの特例が解除されます。結果、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になります。
たとえば、年間の固定資産税が10万円だった場合、勧告を受けると60万円に跳ね上がる可能性があるのです。

デメリット2:50万円以下の過料
勧告に従わず、さらに行政の『命令』も無視すると、50万円以下の過料に処されます。

デメリット3:行政代執行による強制解体と高額請求
勧告、命令を無視し続けると、市町村が強制的に建物を解体・撤去する『行政代執行』が行われます。
解体費用は所有者に請求されますが、一般的な相場より高額になるケースが多いです。自分で解体業者に依頼するよりも割高な請求を受けることになります。
さらに、行政代執行が行われると、「強制的に解体された」という事実が周囲に知られ、風評リスクも非常に高くなります。近隣からの信頼を失い、その後の土地活用や売却にも悪影響を及ぼします。

デメリット4:個人だけでなく、法人にも影響
法人が所有する保養所、社員寮、倉庫なども『管理不全空き家』『特定空き家』の対象になります。
固定資産税の増加は、企業の経営を圧迫します。さらに、「管理不全の建物を放置している企業」というイメージ毀損も避けられません。

『特定空き家』『管理不全空き家』に指定されるNG例

具体的に建物がどのような状態だと指定されるのでしょうか?
建物の種類別に、NG例をご紹介しますので参考にしてください。

倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

一般的な木造住宅

  • 屋根瓦が複数枚落ちかけている、または強風で飛散しそうな状態
  • 外壁のトタンやサイディングが剥がれ落ち、通行人に当たる危険がある
  • 基礎に大きな亀裂が入り、建物が傾きかけている
  • 玄関や窓のガラスが割れ、破片が敷地外に散乱している

別荘・山小屋

  • 積雪や経年劣化により、柱や梁が折れて建物の一部が崩落している
  • 建物全体が老朽化し、人が侵入すると床が抜けそうな状態)

アパート・長屋

  • 共有階段が腐食し、落下や転落の危険がある
  • ベランダの柵が崩壊し、道路側に落ちそうな状態

物置・倉庫

  • 風で飛ばされやすい軽量な簡易物置が、固定されずに放置されている
  • 重量の大きなブロック塀が傾き、今にも倒れそうな状態
  • 屋根材が経年劣化で剥がれかけ、強風時に飛散する危険がある
著しく衛生上有害となるおそれのある状態

一般的な木造住宅・別荘

  • ゴミが放置され、大量のハエや蚊、ネズミが発生している
  • 動物の糞尿が放置され、悪臭が周辺に漂っている
  • シロアリが大量に発生し、近隣の家屋にも侵入している

倉庫・物置

  • 廃棄物が大量に放置され、腐敗して悪臭を放っている
  • 害虫や害獣(ネズミ、ハクビシンなど)が大量に住み着き、近隣に被害を及ぼしている
著しく景観を損なっている状態

一般的な木造住宅・別荘

  • 外壁が汚物や落書きで大きく汚れたまま放置されている
  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 立木が建物の全面を覆う程度まで繁茂している

倉庫・店舗

  • 看板が原型を留めず本来の用をなさない程度まで、破損、汚損したまま放置されている
  • 外壁の塗装が剥がれ落ち、錆びて景観を著しく損なっている
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

一般的な木造住宅・別荘

  • 立木の腐朽、倒壊、枝折れ等が生じ、近隣の道路や家屋の敷地等に枝等が大量に散らばっている
  • 立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている
  • 門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている等、不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている
  • 屋根の雪止めの破損など不適切な管理により、空き家からの落雪が発生し、歩行者等の通行を妨げている

倉庫・物置

  • 敷地外に動物の毛又は羽毛が大量に飛散し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている
  • 不法投棄の温床となり、周辺環境を悪化させている

指定される前に、今できること

解決策1:スケルトン解体でリフォーム・リノベーション
建物の基礎や骨組みが無事で、その土地で建物として使い続けたいなら『スケルトン解体』という選択肢があります。
スケルトン解体とは、建物の骨組み(柱・梁・基礎)だけを残し、内装や外装を全て撤去する方法です。

  • 老朽化した外装や内装を一新できるため、『管理不全空き家』『特定空き家』の指摘を受ける要因を解消できる
  • 建物の骨組みを残したリフォームは、全解体⇨新築よりもコストを抑えやすいです
  • 間取りなどを一から作り直せるので、空き家にしていた原因を解決できるかもしれません

東信解体では、建物の全解体だけでなく、スケルトン解体にも対応しています。お客様の状況に合わせて、最適なプランをご提案します。

解決策2:建物を解体して更地に戻す
もし建物を使う予定がない場合、解体して更地に戻すという選択肢もあります。
ただし注意点があります。
建物を解体すると『住宅用地の特例』が適用されなくなり、固定資産税は標準税率に戻ります。この標準税率は、『管理不全空き家』や『特定空き家』に指定されて勧告を受けた場合の税率(最大6倍)と同じです。
つまり解体して空き地にしても、空き家指定を受けても、固定資産税の節税効果は今より悪化します。
しかし、大きな違いがあります。

指定を受けた場合

  • 固定資産税6倍に加えて、50万円以下の過料のリスク
  • 解体を行政が執行した場合、高額な解体費用を請求されるリスク
  • 周囲からの信頼を失い、風評被害を受けるリスク

自主的に解体を選ぶ場合

  • 固定資産税は標準税率に戻るだけで、ペナルティではない
  • 自分で業者を選べるため、費用を抑えられる
  • 更地にすることで、土地活用や売却の選択肢が広がる

市区町村によっては解体費用の補助金が出る場合もあります。詳しくはお住まいの市役所・町村役場にお問い合わせください。補助金を活用すれば、解体費用の負担を大幅に軽減できます!
>一例:東御市の補助金説明ページ(内容は市によって随時変更されます)

解決策3:適切に管理し続ける

もし建物を残したい場合は、適切に管理し続けることが必要です。

  • 定期的な換気、清掃
  • 庭木の剪定、草刈り
  • 外壁・屋根・窓など市から指摘を受けた箇所の修繕
  • 害虫・害獣の駆除

市から指摘を受けているということはひどい状態だと思いますので、大規模な補修・手入れコストがまず掛かります。また、その後は状態が悪化しないよう、これまで以上に空き家の管理に継続的な費用と手間がかかります。
年に数回しか訪れない別荘や、使っていない保養所を管理し続けるのは、現実的に難しいケースも多いでしょう。

まとめ:『後回し』ほど大きな損失に

紹介してきた内容を改めてまとめます。
空き家を放置し続けると、以下のような損失が生じるのでご注意ください!

  • 固定資産税が最大6倍に増える
  • 50万円以下の過料に処される
  • 行政代執行で高額な解体費用を請求される
  • 周囲からの信頼を失い、風評被害を受ける

「まだ大丈夫」「そのうち考えよう」と先延ばしにしていると、気づいたときには市役所から通知が届いている…ということも十分あり得ます。
2023年の法改正により『管理不全空き家』という区分が追加されたことで、法の指摘を受けそうな手入れされていない建物の対象・範囲が広がっています。
所有者として面倒でも「知らなかった」では済まされなくなりました。今すぐ、空き家の状態を確認してください!
もし老朽化が進んでいるなら、『管理不全空き家』や『特定空き家』に指定される前に、早めの対応をおすすめします。

東信解体では、無料見積もり・現地調査を承っています。
「この見積もり、妥当なの?」
「安全な解体ってどういうもの?」
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東信解体では、他社様が出した見積もりについてのご相談も可能です。
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